わくら屋

和倉稜の小説

二点間の距離

二十歳の誕生日、誰もが子供と大人の境目を見つけては楽しむ日。小夜に呪いが降ってきた。おぼろ月夜だったはずの夜空が一瞬明るくなった気がした。 亀を助けた記憶なんて全くない。竜宮城で楽しい宴を開いてもらった記憶もない。なのに正体不明の波長を有し…

作品からの脱落

下記リンクからお読みくださいませ。 和倉稜と書かれた右のストーリーボタンをクリックすると表示されます。 sdr-cmp.com 絵と歌と物語を繋いでいくって面白い取り組みですね。 ストーリーをクリックすると対応する楽曲や歌詞、歌のみが表示されるようになっ…

パパ見ぬ世界(第二回かぐやSFコンテスト 応募作品)

パパ、大好きだよ。 「世界に選ばれたかった」 パパの口癖だった。喜々と語るパパのクロスモーダル研究の話は独創的で、魅力的だった。選ばれた優秀な存在に違いない。何度も伝えたが、その度に首を横に振られた。手のひらが頭の上にそっと置かれる。ながい…

神鳴島とナツとフユ(島アンソロジー参加作品)

死んだ夜の記憶はおぼろげだった。雷を受けて虹色を帯びる貝の映像が浮かぶ。手を伸ばす。ぷつりと記憶は途切れる。 ナツは幽霊になっていた。虹色の貝に願うことは叶わなかったらしい。ナツを幽霊にしたのはフユの願いではないだろうか? 「おはよう、ナツ…

テュロの選定(さなコン 一次選考通過作品)

朝テレビのスイッチを入れると、ニュースキャスターが「おはようございます。世界の終わりまであと七日になりました」と言う。 どの日にわたしが眠りにつくのかは、決まっていない。テュロの気まぐれ次第、今日かもしれない。 ――玲ちゃんより先に選ばれれば…

スクランブル

サラリーマンの背中を追う。彼はジグザクと角度を変えて歩いていく。コッ、コッ、コッ。革靴が等間隔のリズムでアスファルトを叩く。右、左、左、右、左、右、右。あっ。スーツ同士の肩がぶつかる。互いに動きを見誤ったのだろう。彼らは双子のようだった。…

お問い合わせフォーム

読み込んでいます…